なぜ若者は物を買わない、欲しがらない?物欲0の時代

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経済の衰退?

若者が物を買わない、物に興味がないなどとよく聞きますね。

私は小売業の会社を経営していますので、このあたりの消費の動向は痛いほど肌で感じています。

現在、消費の中心を担うのはなんと団塊の世代を中心とした高齢者達なんですね。果たして20年後のこの国の経済は、産業は、いったいどうなってしまうのでしょうか。

そんなことを考えるだけで、本当に鳥肌が立ちます。


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スポイルされる子供

若者が物に興味を持たない。私には中学3年の息子がいますが、この息子を見ていてこれがよく分かります。

若者が消費に関心のない理由を、よくインターネットの発達でそれに代わる物があるとか、今の子供たちは勉強に忙しくて趣味の時間が持てないとか聞きます。

もっともらしい理由にも聞こえますが、私はこの理由付けが的を得ているとはどうしても思えないんですね。

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私も高校時代などは、部活が少々キチガイじみていたこともあり、全然勉強はしませんでしたが日々時間がない状態を過ごしていました。

それでも、そんな忙しい時間の中でも、自分の中で収拾のつかない好奇心や物に対する欲求、様々なことを体験したいという思いが渦巻いていて、睡眠時間を削って、眠い目を擦りながら友達の家などに集まって実にくだらないことを繰り返していた記憶があります。

そして、わずかなおこずかいを必死に貯めて、レコードやカセットテープ、レコードプレーヤーやカセットデッキといった品物を買ったりしていた記憶があります。

要はハングリーでした。

 

欲しいものはすでにある

家の息子の話ですが、小学校の高学年になった頃から、誕生日やクリスマスのプレゼントが“なくなる”ようになりました。

なくなるというのは、与えないという意味ではなく、「今度の誕生日に何が欲しい?」と問いかけても、「んー?」と首をひねるばかりで、何ら答えらしいものが返って来なくなったのですね。

私はこの様子に暫し愕然としたのを覚えています。欲しい物が思いつかないって何でしょうか?何か自分たちの子育ての中で取り返しのつかないことをしてしまったような感覚に襲われました。

私の子供時代を思い浮かべれば、欲しいものが山のようにあり過ぎ、優先順位をつける作業で必死になっていたのを覚えています。そして、年に数回のイベントに向けては、あれよこれよと思いを巡らせ、ずいぶんと前から親におねだりや交渉をしていた記憶があります。

 

ところが、「じゃあ考えておいて」などと家の子供に言ってみても、結局その日を経過してしまい、何らプレゼントは買わずじまいだったりしました。

子供なりの配慮で、これは無理だよなあとか、様々な考えがあったりもしたでしょう。しかし、よくよく考えてみれば、改めてプレゼントなど貰わなくても、今の子供は“望む物のほとんどがすでに手に入っている”のではないかと考えつきました。

 

消された欲求

我が家が一人っ子ということもあります。やはり少々甘やかして育ててしまったということもあるでしょう。でも、今の子供、結局のところあらゆる物を既に持ってないですか?

すべての家庭がそうだとは言いませんが、至れり尽くせり、親が、祖父母が、親戚が囲い込むようにして環境を整えまくっている気がします。

我々の世代が何かを欲しがり、少ないおこずかいを一年掛かりで貯め、欲しかった物を買うというような行動が、今の子供たちには必要がないのではないでしょうか?

 

しかし、これではいけません。根本的な欲求が生まれて来ないなどとなると、何の活力も湧いてこないではないですか。

人間は手に入らないからこそ強く望み、そんな渇望した辛い記憶は、本質的な欲求の根源となってその人に根付き、行動するうえでの大きなモチベーションになるものだと思います。

現代の子供たちは、この欲求が根付きません。すでに何でもあります。一時的に親におねだりして断られたところで、結局は与えられ、手に入ったりします。無気力、草食などと言われる所以もここにあるような気がします。

 

将来の日本経済を本当に、憂う

20年後、30年後今の若者たちが消費の中心となって経済を引っ張る年齢になった時、日本は一体どうなってしまうのでしょうか?

なにも欲しいものがなければ、仕事をするモチベーションは湧いてくるのでしょうか?

 

極端な言い方ですが、誰も物を買わなければ、経済は破綻します。消費が圧倒的に低迷すれば、会社は維持できなくなり、産業が失われてしまいます。ましてや人口が減り続けている中、そんなことを考えただけでもぞっとしますね。

大陸からやって来る東南アジアの国々の人達の購買意欲を見ていると、私は本当に戦慄を感じます。これから先、あれだけ物を欲するパワーを持った人たちと、日本の若者たちが対等にやっていけるとはとても想像できないないからです。

今の子供たちが、願わくば我々のような年齢の世代には気づくことのできない新しい形のパワーを隠し持っていて、社会人となってその力が大きく発揮されることを願うばかりです。

 

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コメント

  1. ある より:

    20代ですが、一番欲しいのは「暇な時間」ですね。
    欲しいというより、もともと持っている時間というものをあまり他人に奪われたくないですね

  2. イマイ より:

    たぶん消費の中心が、モノからコトに変わっているかもしれません。
    通信費・飲食費・レジャー費などは増えたので、モノに使えるお金が減っています。
    ※またスマホ・パソコンで何でもできてしまうので、モノが不要になっている。
    長引く不況で若者が貧しくなったし、将来への不安から貯金ばかり。
    まだ女性の方は物欲が残っているし、財布も握っている⇒男性向けの産業は、先細り・・・

    究極のコト消費は、やっぱり家族です。
    高額のタワーマンションが売れているし、どんどん教育費が増えています。
    車を持たない都会の若者も、子供ができればミニバンを買いますね。
    週末は家族レジャー、余裕があれば家族で海外旅行にも行っています。

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