ホームベーカリーは突然に
昨日まで問題なく焼けていたパンが突然膨らまない!
部屋の温度も、湿度も、水も冷やし、正確に何度も確認して分量を量っているのになぜ?
メーカーの説明書には確かにパンはその時によってふくらみが違うと書いてあるけど…
あれやこれや調べまくってここに辿り着いたあなた。おめでとうございます。
その答え、原因は生地の”捏ね”不足です。

それはあなたのミスではないんです
毎回ドキドキしながらホームベーカリーの蓋を開けてみる。焼き上がったパンが膨らんでいないときはがっかりしますよね。
ホームベーカリーを焼き始めてからある程度の回数を重ね、安定してパンを焼き続けていたのになぜか突然パンが膨らまなくなる日があります。
一回の失敗ならいいですが、ここのところ毎回。もし1年以上ホームベーカリーを利用していてある日突然、そして、その後もどうもイマイチパンが膨らまないこんな時もっとも疑われるのは、ホームベーカリーの「へたり」です。
笑わないでくださいね、へたり。
でもこれ実はホームベーカリーという機械その物の構造の限界のことなんです。

プロのあなたでも膨らまないなら
皆さんご承知の通りです。パンを焼くという作業は実に繊細な工程、温度、湿度、水温に、分量と経験のあるあなたなら神経をとがらせきちんと計測して、夏であれば冷房の効いた部屋でホームベーカリーを稼働させているはず。そんなセミプロの方でも必ず突如ぶち当たりますす、あれ、膨らんでない!といったXデーに。
単純にホームベーカリーが壊れたと考えるにはまだ買って数年、あるいは1年もたってないよと考えられる方もいるでしょう。一般的な機械の限界と呼ぶにはあまりに短い。実はこれはこのパン焼き機のそもそもの構造の問題、少々無理のある機械だということを知っていただく必要があります。

“捏ね”こそ最重要ファクター
実はパンを焼くという作業、何が一番肝心だと思いますか?
実はこれ、”捏ね”なんですね。練りでもいいです言葉は。
皆さんこれ考えたことあったでしょうか?
このパン生地をこねくり回す作業、これが実は最も重要な工程と言っても過言ではないのです。
町のパン屋さんでも、ちょっと話は逸れますが、うどん打ち、そば打ちも、この捏ね、練りの部分に職人さんの技のすべてが集結しています。

実はこの捏ねさえうまくいけばもうパン焼きは7割以上成功したも同然とお考え下さい。
自分の手で捏ねる
そしてこの捏ねの作業ですが、皆さんの中に実際に自分の手で捏ねた経験のある方はいらっしゃるでしょうか?
一度やってみてもらえば分かります、強力粉をこねるという作業、これ思いの外ハードです。
どうハードなのか、やってみてください、ものすごく力を使います。強力粉に水が混ざった生地の”粘着き”ようったら、まさに田んぼの泥沼にはまった両足です。一歩進むたびに体力を消耗し、最後はすべての力を奪われて突っ伏す、まさにそんな粘着感です。

一つの小型モーターの担う作業
話が逸れました。
強力粉との名の通りです、その中に手を突っ込んだら最後、アメーバとの格闘です。生半可な力では捏ね切りません。真夏なら大汗をかく作業、男性の力が必要です。
これをコンパクトな機械にやらせます。たった一つの小型モーターがこの作業を担います。それがホームベーカリーという機械です。
一つのモーターの軸を介して、小さな羽根にそのパワーを集中して、強力粉の生地を捏ね回す。あの機械の騒音の理由お分かりですよね?
ガタガタガタガタ、初めてホームベーカリーの音を聞いた方はいったいなんだってこんな大きな音が、と考えるはず。
つまるところ結論的なことを言ってしまえば、ホームベーカリーに強力粉の生地を捏ねさせるには少々無理のある構造であるということです。

へたりの点検方法
実際機械が、あるいはケースがへたっているのかどうかを点検する方法があります。
それは捏ねを自分でやってみる方法です。
今まあではすべての材料をホームベーカリーに入れてスイッチポンと魔法のように簡単な作業でパンを焼いていましたが、この最も重要で大変な作業を自分で実際にやってみます。
つまりは自分で捏ねて、焼きの部分だけをホームベーカリーに任せてみようという話です。
まずはいつも通り分量を量って、ケースではなく大きめのボールにぶち込みます。
しかし、ここでちょっと待った!そのまま捏ね始めると大変なことになります。泥沼にはまった足です。アメーバにガンジガラメにされて身動きできなくなってしまいます。

横に小さなボールに手を濡らすための水を溜めておきましょう。
この水で手を濡らしながらボールの中の記事を捏ねます。
ちなみにですが、私は手にフィットするタイプの使い捨ての手袋を着用して捏ねてます。
パン焼き職人と化すの巻
力を入れて何度も何度も捏ねます。そうあなたはパン焼き職人なのです。
おいしくなーれ、おいしくなーれと念じながら捏ねるといいでしょう。そう、料理は愛情が最高のスパイスです。
しっかりと生地を捏ねたら、その生地をホームベーカリーに投入、そしてスイッチポンです。
さあ、焼き上がりはどうでしょうか?
え?
うまく膨らみましたか?
そうです、これでうまく膨らんだのであれば、たいへん残念ですが機械自体がへたっている、あるいは窯(ケース)の故障となります。
ケースの羽根が空回りしていることもよくありますので、その際は機械自体ではなく、パンケースの不具合、ケースの交換で対処できる場合もあります。
ケースの点検方法
ケースの点検方法はケースの底の裏側の軸を摘まみ、もう片方の手でケースの中に取り付けた羽根を摘まみ、両方の指をそれぞれ反対方向へ回してみます。
これでもし羽根が空回りするようであれば、ケースの故障となります。
機械自体のへたりであれば、先に言いましたたが、これは実はホームベーカリーの決定的な弱点であり構造的な故障です。
無理があるんですね、ホームベーカリーという機械は。あれほど強力なパワーを出し続けるには機械自体がコンパクトすぎます。ホームベーカリーを愛するものとしてもなんとも残念です。

高級機という選択
簡易な作りの廉価機種であれば私の体感的に寿命は長くて3年位なのではないでしょうか?
なぜこんなことを言えるのか、私は二日に一度はホームベーカリーでパンを焼き続けてかれこれ20年近くになる熟練者です。今使っている機種も6、7台目となります。
ただ、今の機械に出会ってからは長いです。もう5年以上にもなりますが、さすがに最高級機です。故障なく使えてます。
本格的にパンを焼き続けるのであれば、初期投資は高いですが堅牢な作りのこちらの機械を選んでみてはいかがでしょうか。
実際簡易なペラペラの機械はお試し機と考えた方が良いかもしれません。
強力な動力を必要とするホームベーカリー。コンパクトなサイズでは強力粉を捏ねるハードな作業は少々無理があり、機械の構造の限界といわざあるを得ないようです。
まとめ|ホームベーカリーの限界
・数年使ったパン焼き機のパンが突然膨らまない原因は十中八九ホームベーカリーのへたりが原因
・窯(ケース)の故障の場合もあり
・機械がへたってきても手で捏ねてより美味しいパンを作るべし
・買い替えを考えるなら、もはやこの機種以外は選択肢なし